雑誌『歴史群像』2010年6月号(No.101)読了
「雑誌『歴史群像』2010年6月号(No.101)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「バグラチオン作戦」
第2特集「続 関ヶ原 島津退き口」
第3特集「漢王朝中興の祖 光武帝」
注目は第3特集の光武帝でしょう。本記事の著者が「日本での知名度の低さはどうしたことだろう。」と嘆く通り、光武帝に関する情報を入手するのが困難であることは確かです。かく言う学研自身の赤本「歴史群像」シリーズにも、三国志や楚漢戦争の巻はありますが、光武帝に触れる巻はありません。
光武帝こと劉秀は一般的に、漢の宗室の一員で王莽により簒奪された漢(前漢)を再興した後漢初代の皇帝、との説明がなされ、そこに間違いは確かにありません。しかし、「漢の宗室」とは言いながら、前漢景帝からは6代目の子孫にあたり、その実態は地方の中級豪族に過ぎない実力しか持っていませんでした。その彼が新滅亡後の混乱した前漢旧領を再統一していく過程は、かなり面白い成功物語です。著者の言う通り楚漢や三国志に匹敵するような紆余曲折、権謀術数がちりばめられて、読み物としても十分耐えられそうな要素を持っています。筆力のある作家が取り上げたりすることがあれば、光武帝がもっと注目を集める日が来ることも現実的に十分あり得そうに感じられました。
バグラチオンは特に目新しい話題はありませんが、最高指導者あるいは最高責任者などと呼ばれる組織のトップの意志に対して隅々まで隷属した「遊び」のない組織には未来がないという話。島津は関ヶ原後の撤退戦の後半戦、大坂から薩摩までの道程に注目した記事で、比較的マイナーな話題だと思われますのでご存じない方にはお奨めです。
100号を越えたことによるものか、Book Reviewやイベントカレンダーの構成が若干変わっていますし、「近代軍事学の道標」という新シリーズが立ち上げられたりしています。このシリーズは今後が楽しみですね。
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