太平洋戦争②読了
歴史群像シリーズ「決定版 太平洋戦争②開戦と快進撃」を読みました。
遂に開戦です。内容は主に真珠湾攻撃、マレー攻略、フィリピン攻略、香港攻略など、おおよそ1941年12月から1942年2月くらいまでの時期の戦況を紹介しています。
日本が破竹の快進撃を続けた時期です。もっとも、この戦果は準備不足の相手に対する奇襲効果である部分がほとんどで、フィリピン攻略戦でのバターン半島での戦いのように敵が態勢を整えて挑んできた場合にはやはり苦戦しています。とはいえ、米英は開戦直後にヨーロッパ戦線第一主義を申し合わせましたので、敵の態勢はしばらく整わないままで推移します。
本書も第1巻と同じく当時の日本に批判的な論調が基本です。例えば奇襲としては歴史的に例のないほどの戦果を収めた真珠湾攻撃も、アメリカの戦意を挫くどころか、返ってアメリカの反戦世論を徹底抗戦に一変させてしまった、として失敗だと評価しています。まぁ、確かにそのような評価もありえるとは思いますが、しかしここでアメリカの太平洋艦隊に大打撃を与えたことと、米英がヨーロッパ第一主義を採用したこととが合わさって、国力では圧倒的に劣る日本がガダルカナルで敗走する1943年初頭まで1年以上も戦線をなんとか維持できたわけですから、ある程度の効果はあったものと評価してもよいと思います。
もし真珠湾攻撃を失敗とする評価を受け入れるとしても、では真珠湾を攻撃せず、フィリピンも避けて南方進出したなら、アメリカ世論はこれを黙認しただろうか、というのは怪しいと思いますし、当時日本が戦っていた中国、そしてドイツが戦っていたイギリスに対して、アメリカは中立の立場を採っているはずなのに公然と支援していたのですから、いずれは日本またはドイツ、またはその両方はアメリカとなんらかの対決をすることが避けられなかったと思われます。要は時期が多少早いか遅いかの問題であって、真珠湾を攻撃していなければ日本にバラ色の未来があったとは到底思えません。したがってアメリカの世論に開戦を決意させてしまった、などという評価はあまり本質的ではないように思えます。私は、所詮真珠湾攻撃は奇襲という戦術行動以上でも以下でもなく、したがって戦術的な評価以上の意味をここに見出そうとするのはムリがあるように思います。政略的な意味で論じるなら、この当時の日本はとっくの昔(満洲事変あたりの時期)に根本的に失敗していますので、今更失敗が一つや二つ増えても、それは枝葉末節というものです。
しかし、以前であれば太平洋戦争序盤というのは「日本無双すげー」みたいな論調で語られることも多かったのですが、本書ではそのあたりは非常に抑制されています。快進撃を続ける日本の軍事行動に対して半ば強引に失敗要素を見出して、「勝ちの中にも反省して将来に活かす努力を怠った」というような主張をしているところなどでは、むしろ抑制するために必死だな、と微笑ましくも思いました。戦争を礼賛するような論評は確かにあまり好ましくはないと思いますが、この必死さを見ると反戦団体や中国・韓国系の団体などから抗議でも受けたりしたのかと思えます。実際のところはどうなんでしょうね。
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