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最新古代史論読了

歴史群像シリーズ特別編集の「最新古代史論」を読みました。

構成は、
第1章 ヤマト建国と邪馬台国
第2章 倭の五王と磐井の乱
第3章 蘇我氏の活躍
第4章 推古天皇と聖徳太子
第5章 大化の改新と乙巳の変
第6章 壬申の乱と天武・持統朝
第7章 大宝律令の成立と平城京
となっており、おおよそ3世紀から8世紀まで500〜600年間程度の日本古代を扱った本です。私は古代史にはまったく詳しくありませんので、どのあたりが「最新」なのかは判断できませんが、全体的な印象としては非常に駆け足な感じです。600年を一冊にまとめているのですから、ダイジェストであることは仕方ないですが、なんとなく読後感として内容が薄い印象を持ちました。

ちょっと印象論ばかりで申し訳ないのですが、まず読み始めて最初は神話の時代、日本書紀と古事記の分析の章から始まります。日本書紀と古事記の性格の違いについての説明には感心しました。しかし次にヤマト政権と邪馬台国の関係性を論じる章で、「そんなことはどうでもよいことだ」と結論しているのを読んで、ちょっと萎えてしまいました。章のサブタイトルで「邪馬台国とヤマト政権の関係は?」と煽っているくせに読んでみたら結論が「どうでもいい」っておかしいでしょ。確かに歴史学的には材料が少なすぎるので議論しても堂々巡りに陥るだけですし、はっきりいって関係性は「分からない」というのが結論だと思いますが、だったら「分からない」と書けばよくて、「どうでもいい」は余計だと思います。
それに、現在の古代史研究は考古学に頼っているので、邪馬台国の場所は重要な問題だと思います。場所が分からないと、発掘できないですよね。

大化の改新否定説を取り上げている章もあるのですが、この章を書いているのは改新肯定説を支持している人物でしかも学者ではなく作家。文章を読んでも、ハナっから改新否定説を非常に低く評価していて、取るに足らないといった雰囲気。もちろん、私は大化の改新はあっただろうと考えているので著者の論旨に反論する気はないのですが、改新否定説を取り上げるにあたって、主役であるはずの否定説をまったく評価していない人物を著者に選ぶのはどうかと思います。
「説を評価する」と言ってもその説の結論を支持するというような意味だけではなく、結論には反対であってもそういう説が提起されたことによって学問がどのように進展したか、というような点でその説が果たした学問的貢献を評価するというような姿勢も含まれると思うのですが、この著者はそういった意味においても否定論をまったく評価していないように見えて、結局この章自体が何ら建設的な主張をしていないムダな章になっています。

まぁ、古代史に薄く広く触れてみたい人にはいい本かもしれません。

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コメント

唐土や倭をかけて心のみかよう思うぞ深きとは知る

島津義弘

投稿: 939930461345 | 2011年6月15日 (水) 15時25分

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