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2011年1月

土方歳三読了

新・歴史群像シリーズ第13巻「土方歳三」を読みました。土方歳三は旧歴史群像でも取り上げられています(1999年発行の歴史群像シリーズ第58巻「土方歳三」)ので見比べてみました。内容、構成はそれほど差分はありませんが、執筆陣は多少入れ替わりがありますね。10年近い時の流れでしょうか。

土方の生涯は前半の京都治安維持時代と後半の戊辰戦争時代に大きく二分されると思いますが、戦国ファンの私の視点から見ると、読みやすいのはやはり戊辰戦争時代ですね。
京都治安維持時代にもいろいろ事件は起きているのですけど、所詮は治安維持ですから規模が小さく国政への影響もほとんどないのです。というか事件のほとんどは治安維持部隊「新撰組」の内部抗争だったりしますし、最大の事件である池田屋事件でも30人対30人。治安維持の事件としては非常に大規模だと言えますけれども、歴史の流れに与えるインパクトは小さいと言わざるを得ないですね。本書では池田屋事件が禁門の変の原因であるかのように記述されていますが、禁門の変は八・一八政変への報復ですから池田屋事件の影響は無くはなかったかもしれませんが限定的でしょう。

対して戊辰戦争。上記の通りそもそも治安維持部隊である新撰組は刀槍しか装備していない状態で鳥羽伏見の戦いに参戦して無残に敗れます。このたった一戦で銃砲など近代軍備の価値を見抜いたのはさすが土方。その後、土方は旧幕府脱走軍に参加して新政府軍と戦っていきます。基本的には北へ北へと敗走を続けるのですけど、土方は要所要所で宇都宮城攻略とか松前城攻略とか二股口防衛戦などで勝利を収めて軍略の才を発揮します。最期は箱館(現・函館)で戦死。歴史の流れに抗いつづけて、ついに抗い切れずに非業の死を遂げてしまいます。ただ、土方というと佐幕一辺倒なイメージですが、江戸城開城以降の戦いは幕府のための戦争ではありません。奥羽越列藩同盟は独自政権を構想してましたし(輪王寺宮を擁立したりしてますし)、箱館政府も独自政府であって幕府とは関係ありません(旧幕臣救済が目的ではありますが)。徳川家はこの頃、静岡でおとなしくしています。というところから見ると、土方は佐幕というよりは、池田屋事件などで相手にしてきた薩長嫌いだったのではないか、という気がします。

最後に土方の人となりなどが分析されるのですが、土方の人気の要因はなんといっても「かっこよさ」です。生き方がかっこいい、というのもありますが、もっと即物的なものです。それは土方の洋装の写真。男の私から見ても、確かにかっこいいです。女性ファンが多いのも頷けます。本書では冒頭に、この土方洋装全身特大写真が折り込みで付属してます。土方ファンなら、この写真だけでも本書の購入価値があるかも。

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