定期更新
凍結回避のための生存報告です。
このたびココログのサービス変更により1年以上更新がないブログは凍結されることとなりましたので、凍結を回避するために更新します。このブログのメッセージでのみつながっている方もおられますので、本ブログを維持し続けるべく、生存報告としての更新を続けていきたいと考えております。まぁ、月額数百円程度の有償プランに移行すれば済む話なのですが、このまま行けるところまで行ってみます。
「雑誌『歴史群像』2016年6月号(No.137)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「真説 ジャットランド海戦」
第2特集「晋州城攻防戦」
第3特集「衡陽の戦い」
今号の巻頭特集は知名度ではやや弱い話題に関する記事が並びました。「真説 ジャットランド海戦」は第一次大戦のイギリス、ドイツ両海軍の一大決戦を扱ったもの。「ジャットランド海戦」は日本ではユトランド沖海戦とかジュットランド海戦などと呼称されることの方が多い海戦で、つまりは現在のデンマークが存在するユトランド半島の西方海上で生起した海戦を指します。「ジャットランド」という呼称は私は初めて見ましたが、英語、フランス語、ドイツ語で発音がかなり相違する単語なので、どの言語の発音を元に日本語の音素に乗せ換えるのか、でかなり違いが出てしまいます。ちなみに、当地の住民の使用言語であるデンマーク語が選択されているのは見たことがないですね。
「晋州城攻防戦」は文禄の役(豊臣秀吉の朝鮮出兵のうちの第一次出兵)の末期に生起した、朝鮮半島南部(南端といってもいいくらいの場所)の晋州城を舞台とした戦い。朝鮮出兵の朝鮮側と言えば朝鮮水軍の李舜臣が著名ですが、陸上にも優れた指揮官がいたのですね。
「衡陽の戦い」は第二次大戦末期に日本陸軍が中国で実施したいわゆる「大陸打通作戦」の後半に生起した、湖南省の都市・衡陽を巡る戦い。大陸打通作戦は日中戦争末期にあっても日本陸軍はまだ余力を残していたとの文脈で語られることが多いですが、前線ではやはり弾薬の枯渇などの末期的状況は発生しており、中国軍が戦略的撤退を転換して反撃に転じれば、すぐにも苦戦に陥る様が描かれています。
他の記事では、「再考 薩長同盟」が面白かったですね。薩長同盟は従来、討幕を目指した軍事同盟と理解されてきましたが、薩摩と長州は単にそのような夢を語り合ったのではなく、もっと目先の現実的政治問題への対応としてこの同盟を結んだのだという話。小松帯刀に対する評価も正当なように思えます。よい記事です。
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「雑誌『歴史群像』2016年4月号(No.136)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「第一次上田合戦」
第2特集「西部ニューギニアの攻防」
第3特集「ドイツ空軍の誕生」
「第一次上田合戦」は前号に引き続いて大河ドラマネタです。ただ、上田合戦を単なる上田城攻防戦としてではなく、上田平全体を戦場とする面の戦争として捉える視点は面白かったですね。「西部ニューギニアの攻防」は「決戦」の無いままにずるずると物量に押される日本軍を描きます。特にどこかで大敗したわけでもないのに、ずるずると戦線を下げざるを得ない日本軍の状況の絶望的な様子がよく分かります。
他には「幕末佐賀海軍」はほとんど知らない話だったので楽しんで読めました。薩長土肥と並び称されながら今一つ影の薄い佐賀閥ですが、こういう根源があったのですね。「南米独立戦争」も日本ではなかなか読めない話です。南米諸国は今でも貧しく、経済的には新興国扱いですが、その独立は明治維新よりも50年ほど昔。近代国家としての歴史は日本よりも長いのです。南米諸国の独立後の歴史も、ぜひ近々読んでみたいものです。
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「雑誌『歴史群像』2016年2月号(No.135)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「戦艦『金剛』の生涯」
第2特集「真田信繁の大坂の陣」
第3特集「フランシス・ドレイクの生涯」
「真田信繁の大坂の陣」は恒例の大河ドラマ関連ネタ。しかし内容には特に新しいものはありません。「フランシス・ドレイクの生涯」は、イギリス・エリザベス女王の時代に活躍した私掠船の船長の話。「女王陛下の海賊」と呼ばれた人物ですが、今でこそ国連常任理事国でありG7のメンバーであるイギリスも、400年余りの昔にはテロ支援国家であったというお話です。
他に面白かった記事は「サルフの戦い」。これは中国最後の王朝・清を建国した女真族の「汗(ハン)」であるヌルハチが、明朝との間で戦った一大決戦です。私はこの戦いの存在自体は知っていましたが、詳細はほとんど知らなかったためかなり興味深く読めました。
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「雑誌『歴史群像』2015年12月号(No.134)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「ソ連軍冬季攻勢 1942 - 1943」
第2特集「『三四三空』の真実」
第3特集「南北朝九州軍記」
「ソ連軍冬季攻勢 1942 - 1943」は例によって、最近流行りのソ連側から見た独ソ戦。近世以前の歴史については、例えば織田信長などが良い例ですが、さも勝利者は最初から全てを見通して手を打ち、敗者は最初から罠にかかり全ての手が裏目に出るかのように、勝利者を「スーパーマン」として描きますが、この独ソ戦についてはドイツもソ連も互いに誤謬を繰り返しながらも全体的な戦争の流れが現れてくるのが、非常に現実的で面白いですね。
「南北朝九州軍記」は表題の通りの内容ですが、戦国、幕末に比べると人気に劣る南北朝の記事は珍しく、菊池武光の活躍が面白い記事です。ちなみに、「『三四三空』の真実」に出てくる大刀洗基地の名前の由来が、「南北朝九州軍記」に出てくる菊池武光の故事であるのは、計算された繋がりなのでしょうか。
他の記事では「八路軍vs.日本陸軍」が良い記事でした。最近のアメリカ対イスラムの非対象戦争は「新しい戦争」と言われていますが、すでに日本陸軍は中共を相手に非対象戦争を戦っていたのです。あとは「豊臣大名 長宗我部氏の落日」も興味深く読めました。最近ホットな長宗我部氏ですが、元親次男の香川親和がこれほど高く評価されている記事は初めて見ました。新鮮ですね。
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「雑誌『歴史群像』2015年10月号(No.133)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「帝国海軍軍備計画 1941~1945」
第2特集「地中海航空戦」
第3特集「シュリーフェン計画という神話 その虚像と実像」
「帝国海軍軍備計画 1941~1945」は、日本海軍は結局のところ戦前に保有していた戦力のみで戦い、「作りながら戦う」とした戦前の計画は全く機能しなかったという話。なんとなく熊本の震災避難計画を見るような話です。「敵」とか「自然」とか、こちらの都合など考慮してくれるはずのない相手に対する計画を立てるのは非常な困難が伴いますが、それにしても想定が甘すぎるのは70年を経てほとんど進歩していないようです。
「シュリーフェン計画という神話 その虚像と実像」も、事前の計画の想定が甘すぎるとうう話で、これは日本人のみならず人類共通の課題であるようです。人間は根本的には想定したことにしか備えることができません。東日本大震災以来、「想定外は許されない」などと声高に叫ぶ人々がいるようですが、そんなことは原理的に不可能です。不可能なことを要求するのは、私には至って無責任な行為に見えます。
その他の記事では「”鉄炮足軽”木下弥右衛門」は面白かったですね。木下弥右衛門とは豊臣秀吉の父とされる人物のことですが、息子・秀吉の知名度に比して不明点が多すぎる人物です。本記事では、この謎多い人物の実像に迫ろうと挑戦しています。状況証拠からの推測に推測を重ねている感は拭えませんが、木下家は実は貧農ではない、など、興味深い論考が繰り広げられています。また「カメハメハ大王のハワイ統一戦争」も面白い記事でした。こちらは私自身がほとんど知らない話題だったので、純粋に知的好奇心を満たす記事として楽しめました。
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「雑誌『歴史群像』2015年8月号(No.132)」を読みました。
この号の特集は以下の通り。
第1特集「ブーゲンビル島沖航空戦」
第2特集「東部ニューギニア攻防戦」
第3特集「失われた戦争終結への道」
この号は去年、つまり戦後70年の年の8月号ということで、「戦争の潮目はこの時変わった」との視点で、第1特集で日本海軍、第2特集で日本陸軍、第3特集で大本営において、戦局が暗転していく過程を描きます。「東部ニューギニア攻防戦」では、大した決戦も無いままジリジリと力負けしていきます。「失われた戦争終結への道」ではミッドウェー海戦以降は場当たり的な対応を続けて、そもそもの目的であった中国の屈服も忘れて太平洋戦線にのめり込み、何も成し遂げられないまま全方面で身動きが取れなくなっていきます。失敗するときというのはこういうものではありますが、どこかで敗勢に気付いて諦める決断が必要だったのですが、天皇の下に政府と陸軍と海軍が並立する体制では誰も決断できないのも道理です。
他に面白かったのは「応永の外寇」ですね。これは1419年に朝鮮王朝が対馬に攻め寄せた事件です。私はこの出来事自体は知っていましたが、詳細は全く知りませんでしたので、非常に興味深い記事でした。日本側にも朝鮮側にも複雑な事情があり、結果として中途半端な軍事衝突として終わりました。この事件における一番の見どころは対馬宗氏の立ち回りですね。地政学的に特殊な位置にある対馬の島主としての宗氏のふるまいは、日本、朝鮮の中央に比較してはるかに現実的で、賢明に見えます。
「ソ連邦崩壊」も面白い記事でした。もう若い人にとってソ連は歴史上の存在と化しているようですが、私の記憶では東欧の民主化やバルト3国の独立などの大事件のあと、ロシアの存在が大きくなっていく中でいつの間にか「ソ連」は無くなっていたような印象でした。その内実も、あれから25年以上を経て、ここまで解明されたのですね。
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